2003年3月10日月曜日

Vol.9 思いを伝えるローテク

以前もふれましたが、テナントの情報を更新していくことは、SCのサイト運営において一番重要かつたいへんなことです。ホームページ紹介のコーナーで取材してきた中でも、掲示板のような仕組みを利用して、専門の業者以外でもSC内のスタッフが更新できるようにしているところが多く見受けられました。また、今後はできるだけナマの情報に近いお店のスタッフに直接入力・更新してもらえる環境を整えることが重要になり、無線LANやスマートディスプレイなど、それに利用できる新しい技術もいくつか開発されています。そんな中、今回はFAXという一見古い?!機器を使ったユニークな方法をご紹介します。

これは、パナソニックの「おたっくす情報サービス」といって、パソコンがなくても FAXを利用してインターネット上に情報を公開できるというものです。FAX送信できるものなら、既存のパンフレット等はもちろん、手書きの文章や絵でもごく簡単にサイトに公開されるので、コンピューターやホームページに詳しい人がいなくても情報の更新ができると、小規模の商店や小学校・幼稚園等にも人気のようです。商店街として導入しているところもありますから、その試みは商店の集合体であるショッピングセンターにも充分に応用が可能です。デイリーな商品を主に扱うお店が多い場合、使い方によっては「タイムサービス」等の告知にも有効だと思います。

このサービスが優れているところは、インターネットというハイテクなインフラに、「手書き」というローテクなコンテンツを「簡単」に持ち込めるようにしたということ。この、手書きが持つ独特の迫力やあたたかさは、普通のサイトでは出せません。どんなにEメールが普及しても、手書きの手紙をもらった時にはうれしいように、サイトを見ているとなぜか自分宛てに書いてくれた手書きのDMのような感じさえします。カッコイイだけで情報の中身がないサイトはよく見かけますが、「思いが伝わる」サイトにはなかなかお目にかかれません。手書きの文字が多少汚くても、逆にそれだからこそ伝わる思いがあります。インターネットが一般に普及しだしてから6年程が経ち、技術も表現手法もずいぶんと進歩しましたが、誰かに何かを伝えたいという思いは普遍なはず。ローテクとハイテクの融合でハイタッチなコミュニケーションができる好例です。