2003年5月10日土曜日

Vol.11 ところで販売は?

ショッピングセンターのホームページに「販売機能」は必要でしょうか?質問されることが多い内容のひとつですが、これはそのSCの規模やディベロッパーの経営戦略に絡みますので、一概には答えられない難しい問題です。ひとついえるのは、やるのなら別の組織を設立してでも「本気でやる」。やらないのなら「全くやらない」。という潔さが必要だということ。何事も中途半端なのが一番いけませんが、ここにもよくあてはまります。ネットショップでものを買う人が増え続けているとともに、利用する際の目は肥えています。お客様に満足していただける販売をネット上できちんと展開していくためには、相当のヒト・モノ・カネが必要となります。

では、本気でやるとどのようになるのでしょうか?たとえば、イオングループは販売機能を「eジャスコ」というサイトに集約しています。これは、同グループのeコマース基盤会社「イオンビスティ」が運営していて、イオングループ本体のサイトとは別になっています。当初、ネットでの販売は実店舗の商圏を埋める意味合いが強いとされていましたが実際には、ユーザーは店舗もある全国各地に広がっているようで、実店舗の売上の10%を目指すといいます。また、西友などが実施する地域限定の「ネットスーパー」といわれる、即日配達・送料無料等を実現させたサービスも存在します。これも外部の専門業者に業務委託をしたり、本体とは別の組織が運営をしたりというところがほとんどです。

以上は、自社で販売している商品をネット上でも販売するという小売業としての例ですが、ディベロッパー(不動産業者)としての展開はどうなるのでしょうか?これは「楽天市場」のそれが、一番わかりやすいモデルとなります。リアル店舗のディべロッパーと同様、モールへの出店料(固定賃料)と売上金額に応じての歩合料(変動賃料)をいただき、自社はモール全体の魅力づくりと集客に注力するというパターンです。これらのケースは、いずれにしても実店舗の販売活動と連動するものではなく、全く違うところで運営されることが必要ですから、実店舗を持つ通常のショッピングセンターが、テナントの商品を通信販売するためにサイトを利用するということは避けたほうが賢明です。以上を理解した上で「やる」のなら、さっそく行動を!(ネットの世界は動きが早いので、今からでも遅すぎるのですが、。。)「やらない」のであれば、少なくてもあと2年は販売機能について全く考えないこと!